FAROiwakiさんのNEXTDOOR vol.25「やる木、元気、いわ木!」が面白かった。あらためて、木は身近で好まれる素材だけど、知らないこと知られていないことがたくさんある世界だなと実感。学生、製材業、林業の各立場の違いから、木に関する情報の広さを気づかされました。
身近な木はプロダクト
身近な木は、木材プロダクトなんだと分かりました。正木屋さんがつくっている広葉樹の無垢板レジンテーブルやまな板、スツールなどは、住まいや店舗でも利用可能な木材プロダクト。また、広葉樹は色味など木の表情が面白く多様な好みに対応すること。多様なレジンテーブルの事例を拝見すると、デザイン性高く一般ユーザーへの木材製品の波及効果も高いのかなと。
だからインターンの学生も木の魅力を感じ、人と人をつなぐツールとして木と食のイベント企画されたんだと思います。また、会場の無垢板テーブルは大きく表情豊かで木の力があるから人が吸い寄せられる感じがあります。
家づくりで木を考える
一方で司会の小松さんが「家つくらないと自分で木のこと考える機会ないですよね。工務店やハウスメーカーの担当者が丁寧に木材や建材のことを教えてくれないと、自分の家にどんな木が使われているか知らないもの。十数年前に建てた実家は、工務店等がきちんと説明してくれない時代。だから今まで木だと思って拭いていたら表面の木目シートがはがれて母が驚いていた。」という話で、一般の方と木の距離間を考えさせられました。
木造住宅といっても、大半は構造躯体の木の柱や梁はプラスターボード、クロスでおおわれて、室内に出てこないデザインが多い今日この頃。身近に感じられる木はフローリング。フローリングも無垢板であれば木質感を味わえますが、表面に薄い木のシートか、木目調のシートを貼った複合フローリングの場合も少なくありません。
住宅設計し続けていると、木の使い方が当たり前になりすぎて、一般の方と住宅と木の距離感覚が分からなくなる恐れがあると、ドキリとしました。木材木造初心者の気持ちを忘れずに、木のこと伝える努力します。
川上・川中・川下
普段情報を得る機会が少ない、いわきの山の話を、森林組合の渡会さんからうかがえました。いわき市も他県と変わらず、やはり林業従事者が高齢化してきて、人材不足で、出荷できる材料の量に限りがあることが分かりました。また、危険の伴うお仕事ということ。興味深かったのは、丸太をどう伐るかということに関しては豊富な経験と話題があるが、製材品、木材利用方法になると、まったく分野が異なり分からないということ。餅は餅屋で当たり前なのですが、木材は、川上の森林伐採、川中の製材・加工、川下の木材利用者(工務店や工芸品、燃料利用等)のそれぞれに業界が分かれています。木材活用となると川上から川下までのつながりとよく言われますが、なかなか全体を見通せる人がいないのが現状であり課題です。今回のインターン生が、川下を経験したので川中、川上へと経験値広げてくれることに期待!
木は重い
正木屋材木店の大平さんは、他分野から家業へ転職当初に感じたのは「木は重いから大変」というコメントが、一般ユーザーと木の距離間の一つの答えかなと感じました。例え話で、美味しい料理つくるために、野菜が生っている畑へ行って野菜を吟味して収穫し料理を作り、食べるプロセスと比較し木材流通・利用の話が出ていました。木材は身近にあるんですが、家を建てるのに、木を探してきて、加工して建てるというのは、個人では簡単にできないもの。昔は、家つくるのに裏山の木を使ったということもありましたが。木材は、伐採は危険がともない素人は近づきにくい。また、気軽に運びにくい重さの素材、だけど数人の人力と道具でも運べる素材なので、分業が進み、木材に関する知識が分断されていっているのかもしれません。ということが、木は身近な素材だけど知らない素材ということになっているのかもしれない。
とにかく木を使おう
卵が先か鶏が先か。森林保全、山の木をもっと使って山へお金が落ちやすくできて、林業従事者が増える世の中にするためにはどうするか?木を沢山使う世の中になってもらうしかありません。木造住宅はもちろんですが、公共施設やオフィスビル、中大規模の建築物も木造で建てる時代になってきています。中大規模木造建築普及の仕事に約10年近く関わっていると感覚が麻痺してきて、分からないことが分からなくなります。今回のイベントのおかげで、多様な分野世代の情報伺えてよかったです。
木の道具や家具を使い、木造住宅に住み、木造施設で働ける世界が広がり続けるといいなあ。