オーナー旧知の大工さんならではの仕事。今回のリノベーション工事の建築工事を担当した大工さんは、古民家を移築再生しており、オーナーとそのお父さんと古くからの付き合いがありました。それ故に、リノベーション工事の仕上げに関しては、ご家族をよく知る大工さんだからこその仕事がすばらしく、現場へ行くたび仕上がりの変化が楽しみに。つくることと人の関係は大事だなと実感。川内村の大工さんの仕事を紹介。

ゆがみを読んで仕上げ下地

既存壁を壊した外壁柱間には断熱材充填。冬は寒い川内村。可能な限り断熱材を入れました。

同時進行で電気と設備工事も行います。現場で電気屋さんとコンセントやスイッチの位置確認。断熱材に印書いておきます。

大工さんとはレーザーの赤ラインをみながら建物の歪みと仕上がり位置の確認。古民家リノベの際には、柱の歪みと仕上げを考慮し下地を作ります。その後のボードや仕上げの水平と垂直をしっかり作っていく必要があるため。

外壁は母屋とそろえる。

下屋部分の外壁が横板張りされました。設計では南京下見板張りでした。しかし、大工さんが、母屋は横羽目板張りだからそのデザインにあわせてよいかとのこと。OKハウスの時は大工さんが横羽目板は暴れやすいから南京下見板張りでなければだめだと。今回の大工さんはその逆でした。大丈夫か?と思ったのですが母屋の外壁見ても問題なかったので、つくりとデザインを合わせました。

外壁の保護塗装も母屋とあわせています。大工さんによって作り方変わるよなと実感。

ぴたりと目地そろうボード仕上げ

今回厨房内は保健所指導のもと掃除しやすいボード仕上げとなりました。古民家の店内にあわせ柔らかい仕上げにもしたかったのですが、厳しいHACCP基準があるので仕方ない。しかし、キッチン内は掃除しやすいに越したことはないので、壁と天井は同じボード仕上げ。食品加工施設などでも使われる耐久性高くメンテしやすいボード。

このボードはすき間を開ける目すかしで貼ります。きれいに縦横すき間をそろえるのがひと仕事。それ故に下地工事が大事になります。つっかえ棒で天井板の貼り付け抑え中。見事に目地が通っています。いい仕事!

こちらが下処理室の仕上げ前ボード仕上げ状態。

ボード仕上げ完了の様子。硬い材料なので仕上がりもピシッとした感じ。

厨房カウンター板張りは無垢色

既存納戸と廊下をまたぐ形で厨房カウンター下地が仕上がり中。

このきれいな源平な杉板は、オーナーのお父さんがストックしていた杉板を大工さんがカンナがけしてきてくれたもの。いい木目。

いい木を見ると大工さんも盛り上がります。当初はカウンターもまわりの木部にあわせて古色を塗る予定でした。仕上がり見た大工さんが木に色塗るのもったいないよと。確かに分かります。オーナーも大工さんの思いを活かすことにしました。これから色変化していくのを楽しむ部分があってもいいかも。

カウンター板と既存柱の出会い。こういう部分の仕事が古民家リノベの見どころ。

古民家に似合う洗面カウンター

当初洗面台は既存のものを利用する予定でしたが、新たに作り替えることになりました。その際、大工さんからの提案がこちら。大工さんの保管材の中の無垢板利用。微妙なくぼみのある板は住宅には使いにくいが、店舗なら味わいになりそうと。

さらにサプライズは、その無垢板の上に置く手洗い鉢。震災直前にオーナーのお父さんがつくった作品を新築住宅用に購入していたのです。しかし震災で使う予定の住宅の計画がなくなったことでしばらく保管されていた手洗い鉢。

無垢板を設置。

こちらが仕上がった様子。やっぱりいいものいい素材はいいなあと実感です。オーナーをよく知る大工さんならでは。

職人さんへつくりたいを伝えること

今回の工事は、規模が小さいということや職人さん不足ということもあり、分離発注的な仕事でした。職人さんそれぞれがオーナーと契約するカタチ。それ故に、設計側もそれぞれの職人さんを調整する部分も多く手間暇かかります。本当は大工さんがひとまとめにして工務店として調整してもらえたほうが、後々のメンテ等も安心な面があります。

それでも、人間関係は大事。オーナーと大工さんの旧知の間柄があるからこそ、あとで何かあっても対応してもらえる安心感がありました。最終的にはトラブルもなく竣工しほっと一息。

今回貴重な経験はやはり、大工さんがオーナーさんのつくりたいイメージをよく知っているということ。それ故に外壁の仕上がりや洗面台のつくり込みなど通常ではなかなか生まれない仕上がりプロセスがありました。私自身も初めての経験。やっぱりつくることは面白い。つくる人、職人さんへつくりたいイメージを伝えることの重要性を実感です。

もう少しつくるまでの時間があるとよい?

一般的に家づくりをする際に、オーナーさんから工務店や職人さんを指定されることは少ない。だから、私の付き合いある工務店を紹介し、よければ、見積、契約着工となります。オーナーと現場の大工さんが出会うのは工事着工の時か地鎮祭の時からが一般的。工事中に様子を見に来ているうちに気心知れ、慣れた頃には現場が仕上がるという感じ。

設計後に見積をし、金額調整し、工事着工する期間はできるだけ短い方が竣工が早まります。ましてや補助金などが絡むと工期優先度は高まります。それ故につくる人、工務店、大工さんとオーナーさんがじっくり話し合い、どういうふうにつくりたいかを共有することはあまりないのが現状。オーナーさんと大工さんの橋渡しが設計者の役目でもありますが。そういう時間や場をつくった方がよいのかな?とも考える今日この頃です。

イメージを共有するためのWEB情報

つくりたい人とつくる人のイメージ共有度を高めるための一つの方法があります。それは、HPやSNSなどのWEB情報。オーナーさんからここの工務店にして欲しいという要望をいただく際に、工務店HPを見て決められる場合があります。オーナーさんの「好み」のデザインや質感の共有度合が高いということ。こういう場合は、話がスムーズに進みやすいと感じます。

工務店のHPも様々。技術を前面に出す場合もあります。HPが無い場合もあります。オーナーさんとの「好み」を共有できるような情報発信が豊富だと、よりよいお店づくり・家づくりにつながりやすいのではとも感じています。

これからお店づくり家づくりされる方は、ぜひ、設計者だけでなく、職人さんへも、自分の好みや仕上がりのイメージを伝えてみるのはいかがでしょうか?

古民家カフェリノベ竣工HP

古民家カフェリノベ 秋風舎は、2022年8月竣工の内容は、HPへまとめています。【こちらもご覧下さい】

カフェは、2022年10月オープン予定。ぜひ、ご来店ください!

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