目が詰まっている会津材

平成29年度も昨年度に引き続き、会津材活用へ向けた木材コーディネートを行いました。会津管内では、木質バイオマス関連事業計画や統合中学校基本計画が取り組まれる中、地域材活用と森林組合や製材組合等が計画へどのように関わって行くべきかなどを検討しました。本年度検討した概要をご紹介します。

1.地域らしい乾燥施設を考える

会津材活用での課題、乾燥施設。会津だけではなく、全国的に、乾燥施設をどうするか、乾燥方法をどうするかということは、重要なテーマです。会津管内には、大きな乾燥施設がなく、木材乾燥する場合は福島県内他地域へ材量を運び乾燥させることが主流です。今後、木質バイオマス施設建設へ向けて、木材乾燥が導入されるのであれば、製材乾燥施設整備へ向けた提案も考えられます。
一方で、管内の木材協同組合の皆さんのお話を伺っていると、天然乾燥方法のことや簡易的な乾燥施設整備を試したことなどがうかがえました。ただ、最大の課題は「雪と寒さ」。寒さ、気候条件により、木材は目が詰まり強度が高いという長所もあります。しかし、雪があることで、木材乾燥施設を整備するには、雪を囲い、屋根が必要になること、そのための施設整備にまでコストがかかることがネックであること。寒いと丸太を温めなければならないことなど、地域的な課題も分かりました。
議論を重ね、木材乾燥専門家等へのヒアリングなどから、地域独自の乾燥方法・情報の整理、簡易乾燥施設整備の考え方などがあることも分かり、今後の取り組みに期待がわきました。

2.計画段階からの木材情報共有は有効です

猪苗代町での統合中学校では、基本計画をまとめるために住民ワークショップが開催されています。基本計画を進める中で、木材利用推進のための連絡会が開催されています。設計者と木材関係者が基本計画段階から情報共有ができます。早速、地元で調達しやすい木材情報を設計者へ伝え、施設計画案が検討されだしています。

3.木造の不安と疑問を解決へ

木造の学校計画が始まると、様々な関係者から木造の不安と疑問が出てきます。こちらも全国共通の現象です。今回の主要なテーマは、以下の3点。
①木造は他構造と比べ割高ではないか。
②耐久性がないのではないか。
③3,000㎡を超える施設規模だと、木造は防耐火等の条件で割高、つくるのが大変ではないか。
これらの疑問は、全国的なので、林野庁事業では、コスト比較を行っています。木造技術支援等でも様々な関連情報をまとめています。
木造はつくり方によって、他構造より安くなります。雨水に配慮し庇を出し、木材乾燥を考えた設計であれば、長持ちします。そして、木造を別棟と解釈する情報を知れば、大規模施設でも木造化できます。それらの情報を、今後も活用しやすいよう手引きへまとめました。

4.JAS材の考え方

これからの木造施設整備補助金の中には、JAS材の利用を行うというものもあります。また、木造設計をする際に、設計者、設計内容によってはJAS材が求められます。そのため、会津管内では、どのようなJAS材を提供しやすいか、JAS製品格付け検査シートの話題などが出ました。木材品質の確保方法や設計者と製材者の品質確保のための情報共有などもこれから内容を深めていくべきということが分かりました。

会津材を活用した木造建築の手引き<中大規模木造建築物・資料編>

本年度の取り組みの中から、今後も会津材活用コーディネートに役立つ木材関連情報を「資料編」としてまとめました。木造施設整備を他でも行う際に活用しやすいようにまとめています。【手引きダウンロードはHPからできます】

今回は、短期間でのコーディネートでしたが、毎年少しづつ、木造化に関する情報をまとめ、木材活用や木造化が推進されることが、会津材活用につながると考えています。今後の会津独自の取り組みが楽しみです。

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環デザイン舎では、林野庁補助事業の木造公共建築物の整備に係る設計段階からの技術支援事業等に携わっており、木材・木造化ノウハウが蓄積されています。各種コンサルティング・コーディネートを実施しております。お気軽にお問い合わせください。

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