茶室のある住まいを計画中です。お施主さんの要望より、住まいと茶室のラフプランはまとまりつつあります。しかし!自分が茶室や茶道体験したことなく、知識もないと、どうにもプランニングがしっくりこない、腑に落ちないのです。本を読んでもなかなか本質的なことが理解しにくいもので。正月休みに悩んだあげく「そうだ、京都へ行こう!」ということにしました。行ってみて正解でした。今回廻った茶室などをご紹介します。

1.古い茶室に学ぶ

古い茶室は、数日前の電話予約や当日見学可能なところを探し行ってきました。大半は、時間のかかる事前申し込み制だったり、内部へ入れないです。

西行庵


お正月休み中でしたが、特別拝観させていただけました。

内部は撮影できなかったので、Facebookより拝借。まず最初に、4畳半の母屋のお茶室で薄茶をいただきます。襖のあずき色が渋くてよかった。実際は、薄暗くオレンジ色のライトがぼんやりという感じです。西行庵の歴史を日本の歴史などと合わせお話伺いました。初めての茶室でお茶をいただくので、作法も分からなかったのですが、教えていただきながら体験できました。今回の旅行の中で最もお茶のお手並みというのか分かりませんが、作法が美しく、さすが家元(?)ということをいろいろ経験して実感です。
その後、皆如庵へ。キリシタンである高山右近がつくったといわれる茶室。広さは、4畳と床。天井高さは1.8m程度。にじり口や障子などを閉めると、目が慣れるまで薄暗い空間。だんだんと目が慣れてくるに従い、室内の仕上げ、質感がぼんやりと見えてきます。茶室内で、西行庵の花輪さんから茶室にこめられた意匠の意味を伺うと、なるほど!の驚きばかり。ぜひ、拝観ください。デザインと信仰と茶道が渾然一体とした空間。そして、障子からの自然光のみの室内の微妙な明るさと広さ、人の距離間は絶妙。不思議な一体感や親密感などが感じられます。
おかげで、茶室は、人の関係などをつくることを想定され開発された空間ということを体験実感できました。これほどの空間を開発した先人は凄い!。言葉で説明しきれないのが残念ですが、久しぶりに強烈な空間体験でした。

曼殊院 八窓軒


小さな桂離宮といわれる曼殊院。こちらの八窓軒も特別拝観できました。実際に入ってみると写真とは異なり、本当に薄暗いのですが、何んとも落ち着く、ここちよい暗さ。窓のあいている位置それぞれが計算されており、光の種類が異なります。

様々な座敷の奥に茶室が隣接しています。庭や書院なども見どころたっぷりでした。
二つの古い茶室を体験できたことがラッキーでした。外から見るだけでは絶対にわからない広さ感、明るさ、質感。そして何より不思議と落ち着くこと。リラックスともいえるし、お寺や教会の中にいるような感じもするし、遊びというか、娯楽施設感もあるという、ふしぎな初めての経験でした。今まで古い建物めぐりをしていても「茶室」というテーマや知識でみていなかったので、新たな見方を得られました。

③その他

高台寺の傘亭や建仁寺の茶室は、予約なく見学できましたが外からのみ。桂春院の茶室も見学できましたが老朽化していて、仕事病的にここからなおした方いいかななど考えてしまいました。等持院の茶室は、オリンピックへ向けて改修中のため見られませんでした。残念ながらの部分はありますが、庭のつくりと関係を見られたことは勉強になりました。

2.新しい茶室に学ぶ

細見美術館の茶室


細見美術館の最上階には茶室があり、事前申し込みで茶道体験ができました。ここでよかったのは、これから設計する上では、やはり今の茶室をどう参考にしていくかということになるので、いろいろお話も聞けたことです。申し込みの時に設計関係と伝えたこともあり、茶室のつくりや、バックヤードの水屋やキッチンなども見学させていただけたのが参考になりました。お茶をたてていただいた先生に、茶道のことや京都は茶道関係施設などが多く、美術館も含め見て回りやすいことなどを教えてもらえたので、行動範囲を広げられました。「茶の湯でめぐる京都の美術館ガイド」は役立ちました。

最上階のつくり。いろいろな茶室の造り方があること学べました。

宇治市営茶室 対鳳庵


色々京都市内巡り、本屋や美術館で得た知識の確認を進めているうちに、中村昌生さんの茶室が宇治市にあることが分かり、急きょ宇治へ。平等院鳳凰堂の北側に市営の茶室「対鳳庵」があります。市営というところがすごいです。公共窓口で、薄茶か濃い茶のセットを選べます。濃い茶は飲んだことがなかったので、申し込んだところ、急きょ茶室の小間へ。

状況把握できないまま、にじり口から室内へ。なんだかすごい空気感。終わるころに何となくわかったのですが、初釜で、各流派の大先生が数人いらっしゃったようです。おかがで、作法分かりませんでしたが教わりながら体験できました。ここには、茶室が小間、広間、立礼式、庭があり、それぞれの違いを見ることができました。
住宅へ併設する茶室は、広間を参考にしていくことになると思うので、和室と何が異なるのかなどを見たり聞いたり撮影出来てよかったです。茶室と共に、申し込み窓口にあった無料のお茶サーバーのお茶がものすごく美味しく、市営ですが予想以上にいい施設でした。

③その他


高台寺の喫茶スペース。立礼式で薄茶とお菓子を味わえます。めぐるお寺の先々でもお座敷などで同様にお茶ができるところが多数あり、座りながら、プロポーションや庭との関係も体験できました。


連休混雑や連休明け休みで、「食」めぐりの予定は思うようにいきませんでしたが、「れんこん屋」さんの老舗の雰囲気と京都のおばんさい、うまかった!店内の雰囲気もよく、いい老舗居酒屋です。ジャコの使い方、ずいき、粕汁の味付けは驚きです。味はシンプルなんですが深い。歴史の深さをいろいろ味わえる京都旅、次はいつ行こうかと。


建仁寺の茶室「東陽坊」は、にじり口のガラス越しに見学。ガラスが反射して見にくいのですが、うすぼんやり暗く、絶妙な広さ感。京都から帰って来て、知識を増やし、思い返すと、あの3畳間の茶室体験をもう一度味わいたくなります。不思議です。また、茶室体験できるところを探しつつ、自分の家にも欲しくなるという危険性?も感じています。

おかげで、茶室のある住まいの設計が、実感あるプランニングになってきました。もてなすこと。亭主と客の動線。居心地をつくる。住まいとの関係。いろいろ打合せへ向けてまとめます。

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