奈良県での公共木造建築支援事業。気がつけば4年間の継続支援でした。

最終支援日にからめて京都の和な建材店等をめぐってきたのでご紹介。

和室や茶室、古民家などの新築・リノベーション設計をしていると必ず和な建材選定になります。例えば照明器具や襖の引手、襖紙(唐紙)、古材、銘木、茶室関連建材など。これらの商品を探していると京都のメーカーにたどりつくことも少なくありません。

古い建物が多い京都。まちを探索していると、リノベーションしている建物も多数見かけます。こういうまちだからこそ、和な建材のニーズも高いことを実感。照明器具店、古材店、唐紙店、すだれ店へ行ってきたので紹介します。

三浦照明

偶然、和な照明のショーウインドウを発見。三浦照明と暖簾に書かれている。照明器具屋さんで暖簾?と思いながらも、恐るおそる入店して驚き。多数の和なペンダント照明が下がっています。しかも、杉の桟に障子紙張り。対応していただいた社長さんによると、職人さんが傘をつくり、照明器具の部分は自社で組み立てているとのこと。飲食店や一般住宅の和室に欲しい照明器具のオーダーにも対応されています。

和室には障子紙を利用したペンダント照明が基本的には似合うと感じています。しかし、既製品ではプラスチック製が多くデザイン的にもしっくりくるものが少ない。そのため、今までは天井埋め込み照明器具かシーリング照明器具を使うことが主でした。

おかげで、今後和室や茶室設計の際には積極的に和なペンダント・ブラケット照明器具も検討できます。

丸嘉

国産や輸入のフローリングを取り扱う会社丸嘉さん。フローリングと共に古材も取り扱っています。床の間関連の古材も多数ありました。話を伺うと、和室などをリノベーションしたときに新しい銘木だと古い部分と調和しにくい。だから古材の銘木を利用しバランスを取られる方も多いとのこと。なるほど。床の間自体をつくる機会が減っています。だから新旧の銘木自体を探すのも大変。また、銘木はお施主さんの好みに合うものがあるかどうかも大事。設計者としては、お施主さんが見に行ける場所を探すのも大事なんです。

京都ならではの古材を発見。京友禅を染めるための板。7m材です。長すぎるので半分にカットして展示。厚みが20㎜あるので、フローリング利用も可能とのこと。実際に京都市内の書店の床に利用していることを教わったので見てきました。

こちらが友禅染め板を床板に利用した店内。堀川にある大垣書店2階のギャラリースペースの床でした。板幅があるため、ビスを上から打ち仕上げています。大判タイルのような雰囲気もあります。ギャラリーなので、床板のPRもするとより楽しめそう。

偶然ネットで見つけた京都の古材店。地域ならではの古材ががあることを教わりました。これから出張先の古材屋さん探しも必須にしたい。

京からかみ 丸二

以前茶室を設計した際に、お施主さん(AYハウス)が襖紙を京都から取り寄せました。唐紙です。茶道の流派により唐紙の柄があるとのこと。仕上がった襖の空間はピシッとした雰囲気になり、襖というよりクロスであり絵のような感覚がありました。

たまたまYoutubeを見て発見した唐紙の丸二さん。唐紙のつくり方を動画から知りました。早速調べてみると京都市内に会社がありショールームも発見。

ショールームへ伺うとつくり方やサンプルなど多数紹介いただきました。実物を見るのは本当に大事。唐紙を利用したフラッシュ建具の仕上げやランプシェードへの利用。

唐紙のつくり方からオーダーする際の選定方法等を教わりました。紙と柄の色を好みで選べるということ。版画のように仕上げるのですが、印刷したものと異なるのが、手で押さえることで柄に微妙なムラがでることで、味わいにつながること。教わって見ると改めて唐紙の魅力が分かります。部屋の壁一面をアクセントクロス的に貼って利用するのもよさそう。

すだれ 久保田美簾堂

丸二さんのスタッフの方に、近所に簾屋さんがあることを教わりました。久保田美簾堂さんです。本当にご近所でびっくり。しかも簾を下げたお店のファサードがなんともいい味わい。簾止めもいいデザイン。いきなりお店に伺ったのに、丁寧に簾のことを教えていただきました。感謝です。

簾の世界も奥が深い。いままで簾の材料のことまで意識がおよんでいませんでした。そして簾をかける際に、寸法を決める視点が大事なこと、吊り下げ方や住まい方などの関係も考慮することが大事ということ。そしてなにより、簾は時間とともに吊り下げ方向に延びることも考慮し寸法決定が大事だということ。すだれ設計もしっかり取り組みたくなりました。

室内から簾を通して外を見てびっくり。外からは中の様子が全く見えなかったのに、室内からはいい感じで外の様子を見ることができる。分かっているつもりでも、京都の町並みの中で見るとまた一味違います。

町屋は隣との距離が近い。それ故に、すだれが日よけしつつも近隣との関係調整機能もあること。京都、京町屋の住まい方等も教わりました。

KOHSEKI

三浦照明さんへ伺ったことで、他店もないかネットで調べたところKOHSEKIさんを発見。現地に伺って驚き、中村外二工務店の社屋1Fが店舗でした。後でHPをしっかり読むと、家具部門HPのほうに「興石は、数奇屋建築の中村外二工務店の設計および建築施工会社として1984年に設立されました。その4年後には指物部と家具部を開設し、これが現在の興石の礎となっています。」と記載発見。建築だけでなく指物と家具も含めてつくる視点がすごい。

店頭で電話すると担当の方に対応していただけました。店内奥には座敷があり、全体的に薄暗いインテリア。照明器具の明るさの具合がよく分かります。デザインがいい。真鍮の取っ手を組み合わせているあたりがバランスよい。和な照明も素材やデザインのこだわり方がいろいろあります。

電球の話を伺ってなるほどと思ったのが、LED電球ではなく電球色の電球を主に利用するとのこと。色の温度が異なるから。LEDだと白っぽい光になる(写真の中に1つだけLED電球使っているものがあります)。他の電球色の照明器具とのバランスを考えるとLED電球はあまり利用されない。和な空間ならではかもしれません。和な空間づくりにはいろいろあります。

京都観光で建材めぐりもおすすめ

京都で観光を考えると寺社仏閣や京料理など考えてしまいます。建築を生業としていると、著名な建築めぐりや美術館巡りなども調べます。今回、偶然まち歩きをして三浦照明さんに出会い、「建材めぐり」という新たな視点が加わりました。京都だからこそかもしれません。

次回、関西出張時を想定し、今から京都建材を検索し、グーグルマップへ保存しておこうと思います。

ちなみに、京都市内の建材店をめぐるのには、レンタル自転車とグーグルマップが便利です。

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