先日、正木屋材木店さん主催の「改正省エネ基準と各種省エネ事業の勉強会」の講師を務めさせていただきました。特に、低炭素建築物の認定制度や省エネ補助事業等について、工務店さんへ分かりやすく内容を伝えるという趣旨の会でした。先に話された旭化成さんは、法制度の概要や断熱材などについて解説いただき、私は、より具体的なモデルでのシミュレーション事例の解説をさせていただきました。低炭素住宅の認定書は作成したことが無かったので、実際にモデルを通してやってみると、以前講習会で得た情報や関連書籍から分かること以上の発見もありました。案外、工務店さんが実務としてイメージしやすい情報に落とし込んでいる情報は少ないということもよくわかりました。
また、事前にヒアリングしてみて驚いたのは、改正省エネだ、これから義務化だ、低炭素シミュレーションだということで、専用ソフトを購入させたがっている方もいることが分かりました。もっと、シンプルに、丁寧に省エネと住まいと作り手をつなげることが必要だなと感じ、勉強会の内容をいかに分かりやすく、かつ、ポイントを整理して伝えられるかということを考えました。
ポイント3つ。1つは、市街化区域内が対象ということ。2つ目は、長期優良住宅とほぼ同じ優遇が得られること。ここまでの情報は制度的なことなので知っている方も多いと思うのですが、3つ目の低炭素建築物に求められる性能について。低炭素建築物のイメージは、シミュレーションソフトを動かしてみると、想像以上に、庇の効果やサッシ、設備性能が効いてくるということが分かります。数パターン比較して表にしてみるとよくわかりました。このあたりが、今までの省エネシミュレーションと変わったということがやってみて実感できました。
省エネの順番をきちんと伝えないと、ある種メカニカルだったり、バランスの悪いものになりがちです。
以前、参加させていただいた、地域の特性を活かした省CO2型復興住宅の環境設計報告書【ダウンロードはこちらからできます】の中での省エネ手法と考え方の図(林先生)が参考になります。基本的な断熱性能を確保しパッシブ手法を導入しやすい建物本体の性能を確保してから、省エネ型設備、再生可能エネルギー利用設備の導入というステップがあります。今回この報告書の時に作成した復興住宅モデルを使ってシミュレーションをしてみて、断熱性能そこそこでも、設備性能、特に蛇口性能をUPするとローコストで簡単にクリアーできる場合もあることがわかりました。一次消費エネルギー量か快適性能の度合いか、このあたりは設計の考え方やコストのバランスになります。建設コストの中でトータルなバランスが必要なので、そのあたりをシミュレーションソフトで断熱性能や設備性能を交互に内容変えて消費エネルギーの変化が簡単にみられることができるのはありがたいソフトだと思いました。
シミュレーションするには住宅性能評価・表示協会のエクセルソフトをダウンロードしてつかうのと住宅・住戸の省エネルギー性能の判定プログラムをWEB上で行う必要があります。どちらも無料です。とにかく、一度ダウンロードして、最低限の仕様やいつもの仕様を入れてみて動かしてみると案外簡単に取組めます。
あと、住宅のエネルギー消費で高い、暖房と給湯のエネルギーを削減するということも理解しながら進めると、低炭素認定の基準はクリアーしやすいです。給湯節水蛇口の省エネ威力は驚きます!「水優先吐水機構」という言葉をしっかり覚えつつ、普及せねばというかんじです。自宅の混合栓の使い方も意識するようになります。これからソフトの選択項目に木質バイオマスなどの設備機器の項目なども入るといいなあと期待しています。
公共木造支援であちこち出張して、製材所さんも見学させていただく機会が多いですが、地域の家づくりを考えて、製材所(正木屋材木店)さんと工務店さん等が「いわき家ナビ」というかたちで情報発信していることも珍しく、また、こういう勉強会を続けているということもあらためてすごいなあと、地域で住宅づくりの循環をつくる取組みを勉強させていただきました。
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