今年の仙台は雪が多く、2月末は雪降りすぎて前が見えないほどでした。宮城学院女子大学の学生さんの建築設計作品公開講評会のゲストクリティークとして宮城県美術館県民ギャラリーへ行ってきました。
4年生の卒業設計に対するコメントをするのかと思っていたら、2年生~4年生の13作品の説明を聞き、評価していく内容でした。私の他に3名の方のと計4名で学生さんの作品と設計に込められた思いを伺いしました。
全体を通して一番感じたことは、完成度が高いということです。もちろん、他の学生の方もいる中で選ばれているということはありますが、図面のプレゼンボードと模型が皆さんそろっています。そして、プレゼンテーションも皆の前で行います。普通は、模型が未完成だったり、図面が未完成だったりということがよくあります。そして、意外だったのは、学校の方針かもしれませんが、CGが無かったことです。プレゼンテーションに必要なものが共通で決められていたのかもしれません。
一人一人の作品への説明を聞いていて、様々な視点で建築をまとめています。様々な評価の仕方があります。自分としては今回どのような軸で評価すべきかと、改めて考えさせられました。学生さんの作品それぞれに魅力があり、一方で詰めきれていない課題もあります。ここまでまとめたことのプロセスの苦労や労力も経験者としてはよくわかります。大きな模型やつくり込まれた模型がたくさんありました。
自分が学生時代設計の課題を先生からどう評価されていただろう?とやはり考えます。大学時代の恩師がよく言っていたのは、技術的なものは仕事したら育つけど、気持ちや心、思いやりみたいな部分を学生時代に育てるべき。ということ。そして、建築を通して社会とのかかわりを自分はどのように考え、線を引き、形とするか。ということを言われた記憶があります。
今の自分は、どうやって仕事しているだろう?何を大切にしているだろう。特に震災以降より考えるべきことは何だろう。と説明を聞きながらも、評価すべきポイントを考えながら整理してみると、2年生には設計する楽しみや勢いを評価し、3年生は考えることが多くなってきた課題に対し設計をまとめられるかということを評価し、4年生はこれから社会へ出てい行く上でもより社会との接点を意識しているか、課題の設定がよくまた課題に対する建築のあり方などがまとまっているかということを評価し、票を入れるべきと考えました。学生さんや皆さんのいる前で公開で最終投票なので、選ぶ方も責任があります。こちらも緊張しました。
学生さんの話を聞いていて、非常に「自分」や「個人」という一人称的な思い込みが強い気がしました。つながりが薄いからどのようにつながりをつくるかというテーマ設定が多かった気がします。自分からの課題設定というより、設定したその土地のポテンシャルや地域性や施設特製などの魅力と課題を引きだし、そこから自分がどのように設計を練り上げていけるか考えられるともっと面白くなったのかなというこれからへの期待がありました。
13作品の中で1番いいなと思った作品は、自分の好きなものをどのように他の人へ伝えるかを考え、そのための建築を角地に応じて設計してた作品は、すごく強く気持ちの良い完成度があったと思います。建築的な素材のデザインや空間構成で若干の指摘はありましたが、思いとカタチのまとまり方が群を抜いていました。評価しているこちらが改めて学ぶことがあります。思いを込めたデザイン。今回は評価させていただく立場でしたが、自分で仕事をすることは、評価される側でもあります、もっと頑張らねばと改めて学ばせていただきました。